2024.04.16

従業員の定着率を高めたり、生産性を上げたりするには、さまざまな施策が考えられます。
そのなかでも、近年になり注目を集めているのが、オランダのコンサルタント会社「Veldhoen + Company」が提唱する「ABW(Activity Based Working)」という働き方です。

ABWは、“働く人のやる気”に関わるワークエンゲージメントや従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
今回は、そんなABWの概要や導入効果についてご紹介します。

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CONTENTS
1. 【ABWとは?】仕事内容に合わせて場所を変える働き方
2. 経営課題にも挙がりやすいワークエンゲージメントと従業員エンゲージメント
3. ABWがつなぐ従業員・会社・仕事の良い関係
4. ABW実現のためのオフィスづくりならJIMUKIまで
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1. 【ABWとは?】仕事内容に合わせて場所を変える働き方

各員に座席が割り当てられ、勤務時間は基本的にそこで作業を行う。
従来から続くこうした“集約型”オフィスは、部署ごとにメンバーが集まることで業務を効率的に進めるのに適した形です。
一方、新型コロナウイルス感染拡大を機に大きく働き方が変わった近年、その日の仕事に合わせて座席や勤務場所を選ぶ「ABW」を採用する企業が増えてきています。

具体例を見てみましょう。

  • メンバーと短い会話を交え、場を共有しながら個人作業を行う時は、コワーキングスペースで過ごす
  • 中断されることなく集中的に作業を行う時やWEBミーティングを行う時は、集中ブースで過ごす
  • 時間をかけずにミーティングをしたい時は、スタンディングミーティング席で過ごす
  • 2~3人がじっくり話し合いながら作業を行う時は、ファミレス席があるミーティングスペースで過ごす
  • アイデア出しがメインになるミーティングは、ソファー席があるなどリラックスできる空間で行う
  • 作業が煮詰まった時は、リチャージできる空間で過ごす

このように、ABWは場所にとらわれず、その時々に最適な空間で仕事に取り組む働き方なのです。

なお、混同されがちなものに「フリーアドレス」があります。
フリーアドレスは、単に自席を設けないという運用ルールのことを指していて、ABWのように空間の違いによって得られる効果は考えられていません。

ABWは働く人のニーズや目指す成果に応じて、いつ、どこで、どのように働くか選択肢を与え、主体性を高める働き方です。
多種多様な家具・空間が揃っていることが特徴です。

1-1. オフィスの課題解決に向けた取り組み調査結果

ABWが注目を集める理由を知るために、オフィス用品の製造・販売会社が発表した調査結果を見てみましょう。

「ワークプレイス構築にあたり対応した課題・テーマはなにか?」という設問で、もっとも多くの回答を集めたのが「コミュニケーション強化」でした。

ABWには、座席を固定しないことで他部署とのコミュニケーションを促進できる、というメリットがあります。
コミュニケーションを課題として捉える企業にとっては、ひとつの解決策になり得るのです。

なお、同アンケートではさらに、コミュニケーション強化をどのように図ったかも調査しています。
結果の1位は「社員間でコラボレーションできる環境」、2位は「社員間での偶発的なコミュニケーションが生まれる環境」でした。
いずれも、ABWによってもたらされるメリットです。


2. 経営課題にも挙がりやすいワークエンゲージメントと従業員エンゲージメント

上述した「コミュニケーションの強化」以外にも、ABWにはワークライフバランスの改善、オフィススペース削減によるコストダウンといったメリットがあります。
これらの要素が複合的に作用すると、社内のワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントの向上につながります。

ここで出てきた2つのエンゲージメントは、離職率の低下や人材獲得、生産性向上、事業成長につながる重要な要素です。
それぞれの定義について、簡単に解説します。

2-1. ワークエンゲージメント=仕事と個人のつながり

ワークエンゲージメントとは、従業員が自分の仕事をポジティブに捉え、取り組んでいる心理を指す概念です。
簡単に言うなら、自分の仕事に誇りを持ち、楽しみながら働けている状態とも言えます。
ワークエンゲージメントは、以下の3つの要素によって構成されます。

上記の3要素はそれぞれに密接な関わりを持ちます。
仕事に没頭することで熱意や活力が湧く人もいるでしょう。

一方、活力が源泉となり、熱意をもった仕事に没頭していく人もいるはずです。
組織で大切なのは、いかにそれぞれの要素を刺激できる環境を用意できるか、と言えるでしょう。

2-2. 従業員エンゲージメント=従業員と会社・組織のつながり

従業員エンゲージメントとは、従業員が組織に対して愛着や貢献意識を育んでいる状態を示す概念です。
分かりやすく言えば「会社の役に立ちたい」と思っているかどうかです。
従業員エンゲージメントは、以下の3つの要素によって構成されています。

従業員エンゲージメントには(1)理解度を高め、(2)共感することで(3)行動意欲に結びつく、という流れがあります。
そのため、まずは会社がどのような理念を掲げているのかを知ってもらい、同じ方向を向く仲間がいることを意識してもらうことが重要です。


3. ABWがつなぐ従業員・会社・仕事の良い関係

ここからは、ABWがワークライフバランスと従業員エンゲージメントに対し、どのような影響を与えるのかを具体的に見ていきましょう。

◎フレキシブルな環境が生む没頭・活力・熱意

多種多様な空間を取入れるABWは、スタッフ同士を結びつけるマグネットスペースの創出につながります。
部署に縛られないオープンな環境では、他部署との交流も深まると予想されます。
自分以外の人がどのような仕事をしているのかを知ることは、会社が行うビジネスの理解を深めます。
何より、スタッフ間での仲間意識を醸成してくれるでしょう。

時には、他部署のマネージャーや経営層とのコミュニケーションが発生することも考えられます。
トップやその周辺の人々との交流は、目標達成の重要性や企業理念の伝播に大きく貢献するでしょう。
結果として、従業員エンゲージメントを高める足がかりにもなり得ます。

◎ワークエンゲージメントの向上が行動意欲を醸成

ABWの魅力はコミュニケーション強化だけではありません。
たとえば、防音設備が整った一室などを作業室として用意できれば、スタッフは自分の仕事に没頭できる環境を手に入れられます。

上述のとおり、没頭感はワークエンゲージメントを高める要素のひとつです。
集中して仕事をして生産性と精度が向上すれば、自他共に高い評価を得られるでしょう。
自分の仕事が認められれば、活力や熱意にもつながります。
その他にも、ABWのメリットである「ワークライフバランスの改善」が活力を生み、熱意と没頭につながるケースも考えられます。

◎コミュニケーションの活性化で共感度・理解度が向上

組織への理解度・共感度が高まった状態で、かつワークライフバランスが向上することは、従業員エンゲージメントの重要な要素である「行動意欲」の醸成につながります。

「会社のために自発的に何かをしたい!」という意欲は、生産性の向上はもちろん、周囲の人々へポジティブな影響を与えるでしょう。
結果として、全社的にモチベーションが上がり、事業成長の背中を押してくれる力にもなり得るのです。


4. ABW実現のためのオフィスづくりならJIMUKIまで

ABWはあくまでも“働き方”ではありますが、その実現のカギを握るのはオフィスづくりです。
どのようなスペースを設置するかなど、設計次第で導入効果に大きな差が生まれます。

JIMUKIは、これまで培ってきた経験と技術を生かし、お客様のABW導入をオフィスづくりの観点からサポートいたします。
それぞれの企業様ごとにカスタマイズしたご提案を差し上げておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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