2024.10.15

2023年1月31日に公布された「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」では、有価証券報告書への記載事項として「人的資本、多様性に関する情報」が加わりました。
このときの対象は上場企業約4,000社でしたが、近年は中小企業においても人的資本経営の必要性が高まっています。

そこで今回は、中小企業の人的資本経営と採用戦略を紐付けながら、オフィスデザインの有効性についても解説します。

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CONTENTS
1. 人的資本経営とは?
2. 中小企業が人的資本経営を採り入れるポイント
3. 人材獲得とオフィスデザインの関係
4.採用に向けたオフィスデザインならJIMUKI
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1.人的資本経営とは?

まずは人的資本経営の概要について見ていきましょう。
経済産業省では、人的資本経営を以下のように定義しています。

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
出典:人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~|経済産業省

人的資本経営は、2020年発表の「人材版伊藤レポート」(経済産業省)によって注目された概念です。
ポイントとなるのは、人材を“資源”としてではなく“資本”として捉え、投資を通じて成長・活躍してもらい、企業全体の価値向上につなげるということ。
従来と異なる人材戦略として、話題にもなりました。

多様な働き方の浸透や投資家の情報開示要請、SDGsやDXなどの世界的な潮流のなかにおいて、企業には競争力強化が求められます。
人的資本経営はその一助となるとして、多くの企業に採用されています。

1-1.資源から資本へ、従来との違いは?

前項で触れた“資源”と“資本”の違いを、より明確にしていきましょう。

まずは資源。こちらは、端的に表すなら“活用するもの”です。
従業員を雇うことはコストであり、それを消費・管理しながら企業活動を行います。

一方、資本は人材をコストとして捉えず、投資対象として考えます。
従業員を雇い入れる際の費用が10なのであれば、成長を経ることで100のリターンを獲得しようと考えるのです。

人材を資源とする場合、得られるメリットは即効性です。
しかし、価値が高まりにくい以上、現状維持が続きます。

資本への投資は、当初の売上げがマイナスになる可能性もあるでしょう。
一方、しっかりと環境を整えて成長してもらえれば、人材が将来的に会社にとって大きな資産にもなり得るのです。

1-2.中小企業にも人的資本経営は必要

新入社員を雇い、育てるという手法は、一部の大企業型の人材戦略だと思われがちです。
しかし実際には、従業員の能力開発や、副次的に生まれる組織文化の向上は、企業の競争力や事業成長の促進にもつながります。
その意味で、中小企業においても、人的資本経営はぜひ採り入れたい戦略のひとつといえるでしょう。

とくに、少人数での運営となる中小企業の場合は、従業員一人ひとりのスキルが重要になります。
即戦力だけに頼らず、しっかりと人材を育てることで、他社との差別化にもつながります。


2.中小企業が人的資本経営を採り入れるポイント

「必要性については分かったものの、実際に中小企業が人的資本経営を実践するのは難しいのでは?」とお考えになる方も多いでしょう。

ここでは、人的資本経営を採り入れるためのポイントについて解説します。

2-1.人材の確保

大企業に比べて、中小企業は求人に関わるリソースを多く用意できない可能性があります。
たくさんの応募者を集め、そのなかから選別するのが難しい以上、採るべき手は優秀な人材の引き寄せです。

たとえば、魅力的な職場環境を用意するのはひとつの方法といえるでしょう。
「働いてみたくなる職場」をアピールすることで、理念の共通する応募者を増やせます。
その他、人事制度を整備し、がんばりが認められる会社であることを発信するのも有効です。

2-2.仕組みの構築

刻一刻と状況が変わる現代においては、一度身に着けたスキルがすぐに陳腐化してしまうことも少なくありません。
このリスクに備えるためには、新入社員だけでなく、既存従業員に対しても教育が行える環境を整えることが大切です。

たとえば、資格手当や社内研修の仕組みを予算に合わせて工夫することが求められます。
従業員が積極的に学びを得られる環境がつくれるよう、そのための仕組みを構築しましょう。

2-3.組織文化の醸成

中小企業が目指すべきは少数精鋭です。そのためには、適正な組織文化の形成と浸透が必要です。

ただし、経営者の考え方を押しつけるようなやり方は、中小企業の人的資本経営には馴染みません。
すべてがトップダウンではなく、従業員の意見を採り入れながら、全員が当事者意識を持って仕事に取り組めるような文化を醸成することが求められます。


3.人材獲得とオフィスデザインの関係

前項でも触れたとおり、職場環境の整備は採用戦略の一環でもあります。
そのため、人的資本経営に向けた第一歩として、オフィスレイアウトの変更を検討する企業も少なくありません。

3-1.印象アップ&就労イメージ

オフィスは、企業の顔です。
面接などで訪れた応募者の第一印象にも深く関わるポイントであると捉えましょう。

とくにエントランスのイメージは重要です。
レイアウトやデザイン次第では、企業理念の表現も可能となるので、好印象を持たれるような工夫を考えましょう。
その他、ロビーや会議室なども含め、トータルバランスの取れた空間作りを進めてください。

また、執務室(ワークスペース)の状況は、実際に働くイメージにも結びつきやすいため、より整備に力を入れるべきです。
近年は高校や大学などの教育機関でも、建て替えなどで環境が整っている場所が増えています。
新卒者はその延長線上に職場があると考える傾向にあるため、同等かそれ以上の環境を用意することが、イメージアップには欠かせません。

3-2.既存社員の働きやすさが企業の魅力に直結

オフィス環境が整うことは、既存従業員の働きやすさ向上にもつながります。
従業員の満足度がアップすれば、職場の雰囲気もよくなるでしょう。
その姿を求職者に対して見せることは、企業に対する印象を良くすることにもつながります。

このように、オフィスレイアウトの変更による環境整備は、既存従業員の満足度と求職者の評価を同時に高めることにも寄与するのです。

3-3.定着率アップで人材を育成

環境の整ったオフィスは、従業員の定着率向上・離職率低下にも効果があります。
高いパフォーマンスを発揮できることでやりがいを感じる人もいますし、単に居心地の良いオフィスから離れたくないと考える人もいるでしょう。

人的資本経営のポイントは、長い目で人材を育てていくことにあります。
その意味で、定着率を向上させることは大きなポイントのひとつ。
優秀な人材を引き寄せ、長期の育成で大きな戦力になってもらいましょう。


4.採用に向けたオフィスデザインならJIMUKI

ここまで、人的資本経営を踏まえた職場づくりのポイントをご紹介してきました。

しかし、求職者や既存従業員が魅力を感じるオフィスレイアウトを実現するには、そのためのノウハウが必要です。
見た目が良い点も大事なところですが、働きやすさが失われてしまえば、業務効率にも支障が出てしまうでしょう。

JIMUKIでは、これまでに培った知見を生かしたオフィスデザインをご提案しています。
スタイリッシュでありながらも、誰もが働きやすい環境整備が可能です。

人的資本経営に向けた採用戦略の一環といった背景がある場合には、そのリクエストにお応えしたご提案も行えます。まずは一度、お気軽にご相談ください。

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